金融車はどんな自動車なのか
初めに、そもそも金融車とはどんな自動車なのか、説明していきます。
金融車にもさまざまな種類がありますが、基本的にはローンが残っている状態で売買されている車のことです。
「金融流れ(質流れ)」や「金融物」と呼ばれることもあり、金融関係の契約や融資・ローン絡みで市場に流れた車などが挙げられます。
通常車の場合は、所有者と使用者が存在し、ローンが無ければ所有者=使用者、ローンがあれば所有者はローン会社、使用者は車を使う本人です。
金融車の場合は、所有者=ローン会社であるものの、使用者とは間接的な関係となります。
所有者と使用者が直接的な関係ではないため法的な関係が煩わしく、通常車よりも権利関係が複雑になるようです。
どのような経緯で金融車が流通するのか、詳しく見ていきましょう。
担保が実行された自動車
ローンが残っている車を担保にして融資を受けたものの途中で支払いができなくなってしまった場合、融資元の会社には担保された車を差し押さえて売却する権利があります。
こうして担保が実行された車は金融車として市場に流通します。
債務を返済する際に代物弁済になった自動車
車の使用者がローン以外の融資を受け、途中手で返済ができなくなった場合、現金が用意できなければ物で支払うことになります。
このことは「代物弁済」と呼ばれ、ローンが残っている状態で代物弁済された車は金融車として市場に流通します。
使用者が直接売却した自動車
金融車として市場に発生することが最も多いケースです。
使用者と買取業者がダイレクトに取引を行い、ローンの返済途中の車を使用者が買取業者に売却することで金融車が市場に流通します。
ローンを滞納して差し押さえられた自動車
数ヶ月に渡って車のローンが支払わない場合、その車はローン会社によって没収されます。
没収された車は中古車として市場に流通することが多く、このような車も広義には金融車と呼ばれるようです。
金融車を購入する際のメリット
上述の通り、さまざまな経緯で流通する金融車は複雑な事情もありますが、メリットも存在します。
まずは金融車を購入する際のメリットについて紹介していきます。
金融車は価格が安い
金融車の大きなメリットは、価格の安さです。融資決済で売却されている事情があるため、通常の売買よりも安値で取引されるのです。
中古車の相場の5~6割程度の価格で購入できるため、とにかく安く車を手に入れたい人に選ばれているようです。
金融車は権利移転の法的手続きが不要
金融車を購入する場合、車の使用権だけの売買になることが多く、権利移転に関わる法的手続きが不要なこともメリットのひとつでしょう。
所有権は移動せず、自身は使用者のため、責任は所有者となります。自動車税の支払いも基本的に所有者が負担になります。
金融車を購入する際のデメリットやリスク
続いて、金融車を購入する際のデメリットやリスクも紹介していきます。メリット以上にデメリットが大きく影響することもあるため、しっかりと理解しておきましょう。
金融車は名義やナンバーを変更できない
金融車は所有権移転を行わなず、使用権のみの売買になるため、基本的に名義変更やナンバー変更をすることができません。
これらを変更できるのは所有者の権利であり、購入者や使用者の権利ではありません。そのままでも使用は可能ですが、変更できないことでトラブルに発展するケースもあるようです。
金融車はディーラーで整備してもらえない
金融車は所有者と使用者が違うため、ディーラーで整備をしてもらえないことが多いようです。
ディーラー以外でも車の整備ができる場所を探した上で、メンテナンスをしなければなりません。
整備をするために普通の車より手間がかかり、制限が出るので注意が必要です。
金融車は中古車として売ることができない
金融車を購入した場合、所有権移転をしない限りは自由に処分することができません。
車の売却には所有権者の同意が必要で、所有者でない人が勝手に処分したり廃車にすることは違反行為とされています。
金融車は安くて購入しやすい反面、処分に困ることが多いようです。
金融車の種類によってリスクもある
所有者(=ローン会社)自身が引き上げた金融車は特にリスクはありませんが、「所有者以外の第三者」が売却した金融車は正式な手続きが取られていません。
盗難車であったり、販売者が暴力団関係であったりと問題が生じるリスクも覚えておきましょう。
自動車保険に加入できなかったり、車検が受けられないケースもあるので注意が必要です。
金融車を売却する際のメリット
ここまで、金融車を購入する際のメリット・デメリットについて紹介してきましたが、ここからは金融車を売却する際のメリットについても紹介していきます。
通常は売却できないような車を手放すことができる
通常、ローンが残っている車は、所有者(=ローン会社)の承認を得ずに手放すことはできませんが、金融車としてなら、ローンが残っていても売ることができます。
車の所有者であるローン会社とは別のローン会社の担保に入ることで、所有権は最初のローン会社に帰属するものの、実質的な所有権は新たなローン会社に移転され、新たなローン会社の権限で車を処分できるようです。
すぐに現金を得ることができる
金融車は通常の中古車買取よりも、売却時の必要書類が少なく、比較的簡単に手続きが終わるようです。
車のローンの支払いに困っていたり一時的に資金繰りをしたいなど、すぐに現金を得たい際はメリットになるでしょう。
金融車を売却する際のデメリット
続いて、金融車を売却する際のデメリットやリスクも紹介していきます。こちらも購入の際と同じく、メリット以上にデメリットが大きく影響することもあるため、しっかりと確認すると良いでしょう。
中古車より買取価格は安いことが多い
車の状態や経緯によって買取金額は異なりますが、基本的には中古車の半値ほどの売却となることが多いです。どれだけ車の状態が良くても、高価買取は期待できないでしょう。
金融車は権利関係が不完全な車のため、通常の中古車相場よりも大幅に買取価格が下がるようです。
売却後にトラブルが起こる可能性もある
金融車を売却すると、買取価格に応じてローン残債が減額されますが、ローンが残った場合は手元に車がなくても支払いの義務は残り続けます。
きちんと支払っていれば売却後のトラブルはそれほどありませんが、支払いが滞ってしまった場合は元の使用者である自分が責任を負うことになってしまいます。
金融車は専門業者で購入可能
金融車は通常の中古車販売店などではあまり目にする機会はありません。 大きく宣伝されてはいませんが、金融車を専門に取り扱っている業者があります。 下記のサイトは専門業者と直接やり取りができるのでおすすめです。